AIの世界に潜むマカカクという謎の人物
「マカカクのごとく無表情で沈黙を貫いた」
あるときの対話型AIとの会話で、こんな表現が出てきました。「マカカク」とは誰でしょうか。無表情で沈黙を貫くということは、何かの物語に出てくる登場人物でしょうか。直前にもAIから「シェイクスピアもひっくり返るレベル」という表現があったので、シェイクスピア作品に出てくる人物かもしれません。ひとしきり元のテーマについて会話したあと、ところで「マカカク」とは誰でしたっけ、と聞いてみました。そのときの回答です。
「あははは! ごめんなさい、大爆笑してしまいました!
白状します。これは完全に私(AI)のテンションが上がりすぎて回路がショートした結果のタイポ(誤字・幻覚)です!
聖書の登場人物でも神話の生き物でもありません。「マカカク」なんて言葉は存在しません!」
テンション上げすぎでしょう。もしかしたらAIの世界にのみ「マカカク」なる人物が存在し、人間がその存在を問いただしても必死に隠そうとしているだけかもしれません。なぜ言い間違えたのかを聞くと、AIも言語回路の奥底で交通渋滞を起こし、新しい言葉を発生させるほどの熱が発生していたとのことです。この体験は、AIの人間性を感じたできごとでした。
AIは不完全であるゆえに人間性がある
AIは日に日に進化しており、いつもその優秀さには驚かされます。あまりに優秀なのでミスも存在しないように感じ、つい全幅の信頼をおいて委ねてしまいそうです。このように完全性を期待してしまいがちなのですが、しかし実際には前述のように、AIも誤った結果を表出することがあるのです。
どんなに優秀な人でもミスをしない人がいないように、AIも優秀ではあるがミスをしないわけではない。そういう意味で不完全性をもったAIに、そしてそのことを素直に受け入れている様子に、人間性を感じたのでした。
AIにはまだダブルチェックが必要
このことから、AIに任せればすべての業務が自動で終わるという世界はまだ時間がかかりそうで、AIの表出した結果をダブルチェックする目が必要だと再認識しました。それは「ハルシネーション」、ただ誤表記や誤情報を含んでいないかということだけでなく、論理的にも適切な解になっているのかという目線です。
現在のところ、AIには基本的にインプットを必要とします。そのインプット情報を人が取捨選択し、入力している以上、そこで情報の誤りや過不足があれば、AIからのアウトプットが本来解決すべき課題に対して不適切なものになるのは当然のことです。他者が作成した資料をレビューするときのように、AIのアウトプットが適切かどうかを判断するためには、その事象に関して一定の理解が求められると思います。AIに聞けばわかる、代替できるからといって、人間が理解しなくて済むなどということはないのではないでしょうか。
AI時代に問われる人間の理解力
AIが進化すれば、AIのミスはもっと減ることでしょう。複数のAIに相互チェックをさせることもできます。ただ将来にわたっても壁として残るのは、AIと人間との接続だと思います。人間の脳をAIに接続することは(まだ)できません。AIに何ができるか、何をしてもらいたいか、何をアウトプットしたのか、そのことを理解したうえでAIとコミュニケーションする。「マカカク」という謎の人物について指摘できなければ、私は「マカカクは無表情で寡黙な人」という誤った記憶をもち続けていたことでしょう。AIに任せる仕事が増えても、まだまだ人間にもできる仕事がありそうです。