AI時代の分析麻痺を乗り越える

AI時代の分析麻痺を乗り越える

コロッケ買いたいなと思って、でもカニクリームコロッケ美味しそうだなと思って、迷って、やっぱり2軒となりで焼き鳥買おうと思ったらちょっと並んでいたので、結局何も買わずに帰ってしまいました。優柔不断なのかもしれない。

しかしこれは、心理学でいう「ジャムの法則」なのです。あまりにたくさんの種類のジャム瓶を並べると、買い物客の選択コストがかかりすぎて脳が疲弊し、むしろジャム全体の売上が落ちてしまう、という話です。日常のビジネスにも似たような場面があると思いました。

もっとよい選択があるはずという永遠の買い控え

連日のように最新AIツールが登場し、劇的なアップデートが繰り返され、今や経営機能を代替できるほどAIは進化しています。画期的なツールに出会い、業務改善を期待して導入を検討する場面は、以前より増えてきたと実感します。

一方で、この早すぎる進化、多すぎる選択肢がむしろ大きなノイズとなり、ツール導入のプロジェクトが前に進まない状態を経験されている企業組織も少なくないのではないでしょうか。

「類似のサービスで、もっと高機能で安価なものがあるのではないか」

「もう少し待てば、さらに性能のよいAIが登場するのではないか」

これはもしかすると、「分析麻痺」に陥っているのかもしれません。

情報に溺れる「分析麻痺」

さらに、新しいツールの優れた機能を知ることで、これも解決したい、これも自動化したい、と要求が肥大化してしまうことがあります。当初から解決すべきだった目の前の課題をよそに、あるべき姿の解像度がぶれてしまいます。

その結果、ツール導入のプロジェクトの目的そのものが疑われる事態になり、振り出しに戻ったり頓挫したり、ということになりかねません。情報を収集しすぎたあまりに、意思決定ができなくなる。これこそが、まさに「分析麻痺」の状態なのです。

制約を設けたステップで検討する

この病に陥らないようにするためには、検討のプロセスにルールを設ける必要があります。あえて自ら制約をつくることが、意思決定を加速させることにつながるためです。

ステップ1 :課題を絞る

どこに無駄があり、どのようなコストがかかっているか、という課題を明確にすることがまず重要です。ここでは「新しいツール、AIであれば解決できるだろう」というツールありきの想定を外し、純粋なビジネス課題のみに焦点を当てます。

ステップ2:期限を固定する

いつまで、という明確な期限を切ります。もっといいツールがあるはずだから、現状でも業務は回っているからと決断を後回しにすることは、すぐに導入すれば削減できたはずのコストを払い続けることになります。

ステップ3:絶対条件で足切りをする

ツール比較の土俵に上げる前に、関係者間で絶対に外せない事項を引き出します。ISMS認証の取得、基幹システムとの連携方法、ないと業務が止まる機能など、導入の条件を整理します。やみくもにツール候補を探し始める前に、このフィルターで選択肢を絞り込むことができます。このとき「あればうれしい」という機能かどうかを厳格に線引きすることがポイントです。

ステップ4:及第点で小さく始める

当初に定めた期間内に動き出すことを優先にして、絶対条件を満たす「70点」のツールがあれば、多少の不足があってもまずは始めてみます。うまくいかなければ解約、アンインストールできるのがデジタルツールの利点のひとつです。一部のチームからスモールスタートして実験しながら慣らしていくという発想で、導入後に成果を積み上げます。

選択肢があふれる現代における着実な選択

かんぺきなツールは存在しません。AIが進化しきって完全体となる日も来ることはありません。検討プロセスに自ら制約をつくることで「分析麻痺」から解放され、膨大な選択肢があふれる現代においても着実な一手を選ぶことができるのです。

つぎにコロッケに向き合うときは、自らに制約を設けてみようと思いました。

書いた人

関尾 潤

制作・編集職として事業会社と受託制作会社の双方を経験し、上流の事業立ち上げから下流の執筆・デザインまで一気通貫で対応。アペルザ入社後はマーケティング企画や営業ツール制作を担当。制作者と事業者の両視点を活かしてコンテンツを発信します。

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