25年後、若手は4分の1に
以前より優秀な人材の採用が難しくなった、欠員補充をしたくてもなかなか応募がない、費用をかけて採用活動しても成果が出せない……。すでに日本中のあらゆる現場で聞こえてくる声ですが、この人手不足、人口減少は、今後さらに加速するとされています。今回は、この将来の人口推計について具体的な研究結果を確認し、どのような影響があるかをあらためて考えてみたいと思います。
また、年齢や性別、地域ごとの人口予測のデータは、将来にわたる需要予測をするマーケティングにおいても最重要ともいえるデータのひとつです。景気動向、政策や外交、技術革新など、いくつかの外部環境要因のなかでも人口については最も予測精度が高く、信頼できる根拠といえるからです。今回のデータは、国立社会保障・人口問題研究所の公表値(2023年)をもとにしてまとめました。
確実に人が減る未来

上記は、男女合わせた総人口を、0〜19歳、20〜64歳、65歳以上の3区分でそれぞれ合計した、2020年から2070年までの推移です。国際比較のために中段の生産年齢は15〜64歳で区分されることが多いのですが、ここでは日本の労働実態に即して20歳からとしました。また政策や国際経済に左右される外国人の人口は含まず、近年の実態にも近い「出生低位・死亡中位」の予測から算出しました。
結果をみると、今回の条件下では20年後までに人口1億人を下回るペースですが、とくに20〜64歳の人口は30年後には3分の2、50年後には2分の1以下となる予測です。出生数は公表当時の予測よりもさらに低位に進行しているとされているので、この将来予測以上に人口が減少する可能性があります。
地方はさらに深刻

さらに焦点を絞って見ていきたいと思います。上記は、2000年における20〜64歳の総人口を100としたときの2025年、2050年の割合を、日本全国の合計、東京都、秋田県で比較したものです。秋田県は最も人口減少が進む地域とされているため、先行指標として抽出させていただきました。
全国的にはこの25年で17ポイント減少している一方、東京は10ポイント増加、秋田は38ポイント減少と、都市部と地方の格差が鮮明になっています。さらに25年後はよりいっそう深刻です。東京も減少に転じていますが、秋田は33ポイントまで縮小、つまり2000年と比較して3分の1になるという予測です。
若手採用は非現実的になる

先ほどの比較をさらに20〜34歳の、新卒を含めた若手採用枠であり、近年「Z世代」と呼ばれてきたようなマーケットの主役となる層にしぼってみました。この年齢帯では東京においてもこの25年で10ポイント減少しており、秋田はすでに半減しています。そして25年後、全国的にも半減、東京も19ポイント減少、秋田では4分の1になってしまいます。もはや地方から若手を吸い上げてきた東京の一極集中すらも限界を迎えるということを示唆しています。
25年後に4分の1となる急激な減少
生産と消費のコア層である20〜64歳。それがあっという間に3分の2、2分の1となることが今回、具体的に見えてきました。人口減少が早いエリアを局所的に見れば、20〜34歳の若手がたった25年で4分の1になります。
たとえば消費者が半減するということは、年に4回季節ごとの注文が年に2回に激減すると同等の市場縮小が起こります。労働力が半減するということは、業務を2倍のスピードで完了させなければ、現在の水準を維持できません。また採用対象となる応募者が半減するということは、入社者が半減するという単純な構図ではなく、ブランド力のある大手1社だけが人材を維持し、中小では何年も採用できない状況すら現実的になってくるということです。
これは現状のあらゆるルールを見直す必然性にせまられることにつながります。向き合うマーケットを見直す、採用と雇用継続の方針を見直す、人が担う業務を見直す。戦後の日本が初めて向き合うことになる急激な人口減少が、目前にせまってきています。現状維持はもはやできません。まずは既存の業務慣習を疑い、省力化の余地がないか見直してみてはいかがでしょうか。