もう見失わない 企業間取引の3つの流れ

もう見失わない 企業間取引の3つの流れ

新しい取引は手続きが多くて手間がかかりそうなので、ちょっと億劫になる……。

せっかく新規顧客から引き合いがあったけれど、何の手続きをご案内すればよいかわかっていない……。

一般消費者の購買(BtoC)に比べて、企業間取引(BtoB)には関係者も多く、細かいプロセスが存在します。初めて企業間の取引の当事者となったときには、勝手がよくわからずにとりあえず先輩社員の言うなり、事を進めていたことを思い出します。

とくに売り手側あるいは買い手側の一方の目線しかない場合、企業間取引における手続きにどのような意味があるのか、この場合は何が必要で何を省略してよいのかと、判断や対応を遅らせる一因にもなりかねません。業務の目的と重要性を理解するためにも、あらためて全体の流れを4段階に分けて整理してみたいと思います。

初めて取引が発生してから発注するまで

新規の取引先とビジネスを始めるときは、会社としての信頼性の確認と法的な基盤整備から始まります。

紹介、展示会やデジタルマーケティングを通じて名刺(担当者情報)を交換するところから、企業間取引が始まります。ここで商談を経て具体的な情報開示を進めていく場合には、まずはリスクマネジメントとして秘密保持契約(NDA)の締結、新規取引先審査をすることが一般的です。

問題がなければ、今後の取引の土台となる取引基本契約(売買基本契約や業務委託契約など)の条件交渉、締結へと進みます。これは基本契約と個別契約を結ぶ形式での取引ですが、定額制サービスなどで利用規約(定型約款)に対して同意、申込をする形式の取引においては、契約書の締結は省略されます。

法的な整理ができれば、売買管理システムへの登録、振込先銀行口座情報の確認など、代金回収や支払いの準備も進めていきます。ここまでが初回の取引における手続きです。

個別の取引、2回目以降の取引については、商談から具体的な提案、見積へと進みます。より金額の大きな取引においては、買い手から要件を整理した提案・見積依頼書を提示します。実際の商習慣としては、商談のなかで売り手が要件を整理して買い手と確認しながら明文化するということもあります。前提を合意したうえで、売り手から提案・見積書を提示し、試用品やトライアルでの確認、価格・スケジュールなどの条件交渉を経て、双方での合意を図ります。このあたりはまさにセールスの現場としては最も個別に、具体的にイメージできる領域かもしれません。

買い手は他社とも比較しつつ発注先を選定し、稟議回付、決裁へと進みます。決裁が下りれば売り手としては受注ですが、それを口頭伝達で済ませるのではなく、先々の発注量の見込みまで含めた発注内示(フォーキャスト)や発注書を受け取り、売り手が買い手に発注請書を送り返すことで確実に個別契約が成立することになります。

契約の履行から支払まで

個別契約に基づいて、実際に物品や成果物が動いていくプロセスです。サービス・役務の提供の場合は少し省略されますが、ここでは物品取引の場合を見ていきたいと思います。

発注内容から出荷作業に進み、出荷案内を買い手に送付します。その情報をもとに買い手は入荷の準備としてデータ登録、自社倉庫に情報を連携します。並行して売り手は物流事業者に運送委託、買い手の倉庫に納品書とともに納品します。

買い手は荷受け、入荷データ登録をしますが、ここで重要なプロセスが受入検査(検収)です。発注書、入荷予定情報と納品書、実際の納品物が一致しているか、その仕様や数量、状態を確認する作業です。ここまで問題なければ、契約を履行した証明として検収書を発行、支払通知書を売り手に送ります。

取引の締めくくりとなる代金決済のプロセスです。毎月複数の取引がありますので、個別契約が履行される都度ではなく、売掛金・買掛金を月締め処理でまとめることが一般的です。

売り手が検収書を受け取った(個別契約が履行された)取引を確定させ、請求書を発行します。買い手はその請求書の内容を発注書のデータ、検収書のデータと照合し、当該情報が一致していることを確認したうえで支払期日までに銀行振込などで支払います。売り手も入金確認ができれば、それぞれ売掛金・買掛金の帳簿上の残高を消し込みます。これで一連の取引プロセスがすべて完了です。

3つの川が並行しながら流れていく

上記は代表的な例ですので、業界や個別の商慣習によっても省略、追加される手続きがあります。いずれの企業間取引も細かいプロセスがありますが、根底には商流、物流、金流という3つの流れが共通して存在します。この3つの流れは相互に作用しながら、同時に流れていることがわかると思います。

商流(契約の流れ):契約書、見積書、発注書、検収書

物流(物品やサービスの流れ):出荷と納品、入荷と検収

金流(お金の流れ):見積、請求、支払、消込

AIの普及によって文書作成や確認、処理の業務負荷も軽減されつつあります。しかし、目の前の業務がどの川のどこを向いて流れているかをつかみ、その流れを円滑に進めるには人間の判断力がまだ重要です。

取引で次に向かうべき先を迷ったとき、現在地を見失いそうになったときには、この3つの流れをイメージしてみてください。業務の目的と重要性が明確になり、より迅速に取引を前に進めることができるはずです。

書いた人

関尾 潤

制作・編集職として受託制作会社と事業会社の双方を経験し、上流の事業立ち上げから執筆やデザインまで一気通貫で対応。アペルザ入社後はマーケティング企画や営業ツール制作など幅広く従事。多岐にわたる経験からの視点で、現代のセールスマーケティングを紐解きます。

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